プロが本気で使った最後のCCD機──Nikon・Canon・Olympusの名機
一眼レフの歴史を振り返ると、Nikon D600やD700の比較から、さらに遡って「CCDセンサーを搭載したプロ機」というテーマに行き着きます。当時はプロ仕様として投入されたカメラが、今の基準ではアマチュア機に見えてしまうのはなぜでしょうか?この記事では、CCD時代のプロ機の特徴と現代との違いを整理します。
Nikon D600とD700の違い
Nikon D600(2012年)とD700(2008年)はどちらもフルサイズ機ですが、ターゲット層は異なります。D700は「D3の弟分」として登場し、堅牢ボディや高速AFなどプロ寄りの仕様。一方、D600はフルサイズ入門機として、軽量かつ高解像度を特徴としました。
- D700:1,210万画素CMOS、高感度耐性、51点AF、防塵防滴でプロ現場向き
- D600:2,430万画素CMOS、動画対応、軽量で扱いやすいがAFや剛性は控えめ
同じ3桁シリーズでも、D700はプロ仕様寄り、D600はアマチュア〜ハイアマ向けとターゲットが違うのです。
CCDセンサーを搭載したプロ機とは?
プロ用デジタル一眼の初期世代はCCDセンサーを搭載していました。代表例は以下の通りです。
- Nikon D1シリーズ(1999):報道用、300〜500万画素CCD
- Nikon D2X(2004):APS-C 1240万画素CCD、動体撮影や商業撮影の主力
- Canon EOS-1D(2001):APS-H 410万画素CCD、連写重視の報道機
- Canon EOS-1Ds(2002):フルサイズ1100万画素CCD、スタジオ・広告用
- Olympus E-1(2003):フォーサーズ500万画素CCD、防塵防滴でプロ向け
- Kodak DCS Proシリーズ(2002〜):フルサイズCCD搭載、独特の色味で人気
- Fuji S2 Pro / S3 Pro:SuperCCD、ポートレートで「Fuji色」と呼ばれ人気
- 中判デジタルバック(Phase One、Hasselblad):スタジオ専用のCCD機
なぜ当時は「プロ機」と呼ばれたのか
今の目で見ると「500万画素?ISO800でノイズ?」と感じますが、当時は最先端でした。プロ仕様と呼ばれた理由は次の通りです。
- 画素数:雑誌や広告印刷に十分耐える高解像度
- 高速性能:報道・スポーツに必須の連写速度やAF性能
- 堅牢性:防塵防滴、マグネシウム合金で現場に対応
つまり「他に選択肢がなかった=最高性能=プロ機」だったわけです。
現代ではプロ使用に耐えられない理由
現在のプロ現場で当時のCCD機を使うのはほぼ不可能です。その理由は明確です。
- 画素数不足:今は2400万〜6000万画素が主流
- 高感度の弱さ:CCDはISO800が限界、CMOSはISO12800も実用
- 動画非対応:現代では動画撮影が必須条件
- ワークフロー対応不可:連写バッファや転送速度が遅すぎる
そのため「商業撮影や仕事」では使えません。
それでも愛されるCCDの魅力
性能的には時代遅れでも、CCDには独特の描写があります。特に「色のり」「透明感」「階調表現」は今もファンが多いポイントです。現代ではプロ使用は難しいものの、作品作りや趣味としては唯一無二の存在価値があります。
まとめ
CCD時代のプロ機は、当時の最高性能だからこそプロ機と呼ばれました。現代では性能面で通用しませんが、その「色」と「描写」は今も写真好きに愛されています。プロ用途から趣味用途へ——CCD機は時代を超えて生き残る特別な存在なのです。