「スマホ新法」で自由が広がることは本当に良いことなのか?
2025年12月に施行予定の「スマホソフトウェア競争促進法(通称:スマホ新法)」が、私たちのスマホの使い勝手を大きく変えるかもしれません。
この法律の目的は、公正な競争の確保とユーザーの選択肢拡大です。しかし一方で「便利な機能が制限されるのでは?」「セキュリティが低下するのでは?」といった懸念の声も上がっています。
スマホ新法とは?
正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」。2024年に成立し、2025年12月から施行されます。
この仕組みは、欧州で先に導入された「デジタル市場法(DMA)」に近いもので、AppleやGoogleといった巨大プラットフォーマーの独占を防ぎ、よりオープンな市場を実現しようとしています。
Appleユーザーへの影響
Apple製品の魅力は、堅牢なシステムとシームレスな連携にあります。しかし欧州ではすでに、iPhoneのミラーリングやMacとの連携、SharePlay強化といった機能が制限される事態が発生しました。
日本でも同様の影響が出れば、「Appleだからこそ享受できた安心と利便性」が損なわれる可能性があります。
自由の拡大とその代償
- メリット:他のアプリストアの利用や決済手段の拡大、競争によるサービスの充実
- デメリット:詐欺アプリ・マルウェアの流入リスク増大、エコシステムの分断、安全性の低下
つまり「自由が広がる=必ずしも良いこと」ではなく、ユーザー自身が危険を回避する責任を負わされることにもなります。
Apple審査の役割
Appleの厳しいアプリ審査は、ユーザーを守る最大の盾でした。批判もありますが、そのおかげで安心して使える環境が維持されてきたのです。
一方でAndroidは「自由」ゆえに野良アプリ経由のマルウェア感染が繰り返し問題になっています。安全と自由のバランスは非常に難しいテーマです。
必要なのは規格化された審査基準
もし「自由化」を進めるなら、Apple以上に厳格な第三者審査が必要ではないでしょうか。工業製品でいうISO9001のような認証制度を設け、セキュリティ水準を満たすアプリだけを許可する仕組みが求められます。
安全を担保する規格がないまま自由化するのは無謀であり、国民を危険に晒す方向へ進むことになります。
まとめ
スマホ新法は「自由」を広げる法律ですが、それが本当にユーザーの利益につながるかは疑問です。性善説が成り立たない現代においては、安全性を担保する規格が必須です。
自由を与えるなら、それに見合う責任ある審査制度を同時に整備すること――それが本当に国民の利益を守る道だと考えます。