
夏にガラスが割れるって本当? “熱割れ”の原因とその温度を科学的に解説!
猛暑の日、突然「バキッ」と窓ガラスにヒビが…。
実はこれ、単なる偶然ではなく「熱割れ」と呼ばれる現象なんです。
■熱割れって何が起きてるの?
ガラスって、実は意外とデリケートなんですよね。
特に「急激な温度差」にとても弱い。
たとえば、夏の日中は外の気温が35℃以上になり、ガラスの表面温度は60〜70℃にも達することがあります。
でも室内は冷房で25℃くらい。つまり、ガラスの内と外で40℃以上の差が出てしまう。
この温度差で、ガラスの一部が急激に伸びようとするのに、別の部分はあまり伸びない。
この“膨張の差”による内部応力が限界を超えると…パキンと割れる、というわけ。
イメージとしては、熱い日に鉄のフライパンを火にかけると、金属が「ミシッ」と鳴ることがありますよね。
あれは温められて素材が膨張している証拠です。
また、道路にある鉄の橋も、夏は熱で膨らみ、冬は縮みます。
そのため「伸縮継手」というスキマが作られているんです。
これがないと、熱膨張で橋が壊れてしまいます。
ガラスも同じで、熱で“ジワジワと膨張”します。
ただし、ガラスは鉄のように柔軟じゃないので、無理に引っ張られると割れてしまうんです。
■ワイヤー入りガラスが割れやすいのはなぜ?
網入り(ワイヤー入り)のガラスって、防火用で安心に見えますよね。
でも実は、熱割れにはかなり弱いんです。
理由は「ガラスとワイヤーの熱膨張率の違い」。
- ガラスの熱膨張係数:約 8 × 10⁻⁶ /K
- 鉄ワイヤーの熱膨張係数:約 12 × 10⁻⁶ /K
つまり、同じ温度変化でもワイヤーのほうが早く伸びる。
その結果、ガラスの内部に歪みがたまり、特にワイヤー周辺から割れやすくなってしまうんですね。
■実際どれくらいの温度差で割れるの?
専門家によれば、30〜50℃の急激な温度差があると、熱割れが起こる可能性が高くなるそうです。
特に以下の条件が重なると要注意:
- エアコンが強めに効いた室内
- 日差しが集中する窓
- 網入りガラス
実際、太陽の角度によって一部だけ集中的に熱せられると、たった数十分でヒビが入ることもあります。
■対策はあるの?
あります。しかも簡単なことからできます。
- ガラスに直接日光が当たらないようにする(遮光カーテン、フィルムなど)
- 窓ガラス周辺に熱がこもらないように通気する
- 強化ガラスや複層ガラス(ペアガラス)に交換する
特に古い建物やマンションでは、昔の防火ガラスが多く使われているので要注意です。
■まとめ:ガラスも暑さに弱い!
夏場は人間だけじゃなく、ガラスもストレスを感じてるんですね。
特に網入りガラスは“安全そう”に見えて、実は熱にはかなり弱い。
気温差が大きい場所では、窓まわりの環境を見直してみるのがおすすめですよ。
猛暑の季節、「熱割れ」はどの家庭にも起こりうる現象。
「突然割れた!」と驚く前に、ちょっとした対策をしておきましょう。