井戸を埋めるとどうなる?環境・工学的なリスク
建設業界では昔から「井戸だけは完全に埋めてはいけない」と言われています。
これは迷信ではなく、環境的にも工学的にも理由があるのです。
(関連記事)井戸を埋めると祟りが?風水的に見た“井戸の息抜き”の意味
井戸は地下水の通気口
井戸は単なる水汲みの穴ではなく、地下水や地中の空気が通る通気口の役割を果たしています。
ここをコンクリートなどで完全に塞いでしまうと、地下水圧が逃げられず、周囲の地盤に影響を与える可能性があります。
地盤沈下やひび割れの原因になることもあるのです。
排水や衛生面のトラブル
井戸を強引に埋めてしまうと、雨水の行き場がなくなり、地中で滞留してしまいます。
これが悪臭や害虫の発生につながることも少なくありません。
昔の人が「井戸を粗末にするな」と言ったのは、こうした生活環境の悪化を経験的に知っていたからかもしれません。
「息抜き」を残す理由
井戸を撤去する際、専門業者は「井戸の息抜き」と呼ばれる処置を行います。
塩化ビニール管や竹を差し込み、完全に密閉しないようにするのです。
これにより、地下水や空気の圧力が適度に抜け、地盤や建物への悪影響を防ぐことができます。
竹を使う場合はやがて自然に腐って土に還るため、環境にやさしい方法とも言えます。
現場での事故事例
解体や造成工事の現場では「井戸を埋めた直後に機械が故障した」「オペレーターが体調不良になった」といった話が多く聞かれます。
一見オカルト的に見えますが、実際には地盤や地下水の影響で事故や不具合が起きやすいのも事実です。
だからこそ、多くの業者が「井戸だけは慎重に」と強調するのです。
まとめ
井戸はただの古い設備ではなく、環境や地盤の安定に関わる重要な存在です。
完全に埋めてしまうと、地盤沈下や排水トラブルなど思わぬリスクを招くことがあります。
迷信とされる「井戸は埋めるな」という言葉には、実は経験的な安全対策の知恵が含まれているのです。
もし井戸を処理する必要があるなら、専門業者に依頼し、必ず「息抜き」を残すようにしましょう。